「もりかど百科」の『でんたるひろば』です。 |
このコーナーでは,「歯」や「歯科医療」についてのいろいろなお話をご紹介します。 |
ご紹介するお話は,守口市西郷通の山本歯科医院の山本洋一先生にご協力いただき,「やまもと歯科新聞」から抜粋しています。 |
??????ここが知りたい?????? | |
歯周病 -たかが歯周病,されど歯周病。なにしろ玄関口だから- | |
歯周病は,口の中だけの病気ではなく全身の健康と大きな関係があります。 早産や低体重時を出産する原因になったり,心臓病や動脈硬化,肺炎などは,歯周病の原因菌が血液の流れにのって全身に運ばれるためとも考えられています。 また,若年性歯周炎は10代の思春期の若者のおよそ300人に1人がかかっているとも言われています。女子に多く,症状の進行は急激で歯(多くは前歯や第一大臼歯)がぐらぐら動いたり,歯の周りに症状が出やすく,プラークや歯石があまりついていなくても症状が出ることがあります。 若い頃から歯をなくしてしまっては将来の健康も不安になってきます。医院によく足を運んで,早期発見で予防,早期治療することが大切です。 |
・・・・・・中世の歯医者さん・・・・・・ | |
中世のイタリアでは理髪師が副業として歯の治療も取り扱っていたということをご存知ですか?外科処置も「瀉血(しゃけつ)」という治療を主に行っていたようです。要するに,どこか具合が悪ければ「はい,血を抜きましょう」というあんばいです。 理髪師が外科を担当していた名残は現在でも看板にあります。あのクルクル回る赤・青・白の3色は,動脈の赤・静脈の青・包帯やシーツの白を意味しているのです。この商標は1540年にパリの理髪外科医メヤーナ・キールが用いたのが最初とされています。 余談ですが,外科的処置の料金は一定でなく,その状況によって礼金として受け取っていました。その支払い方法が広がり,サービスに対する礼金を入れる箱が置かれるようになりました。その箱には少しでも多く礼金を入れてもらうため「To insure promptness」(迅速を保証するために)と書かれてあったそうです。この頭文字をとると,T・I・P(Tip)となり,これが御礼として渡す「チップ」の語源になったという説があります。 さて歯科の治療ですが,主に抜歯と歯の清掃を行っていました。特に歯の清掃は家庭用の歯ブラシが高価であったため,一般庶民は理髪店で定期的に口腔清掃を受けていたようです。身だしなみとして頭髪のケアと歯のケアを一緒にしていたのですね。もちろん,当時でも口腔の清掃が虫歯の予防に効果があることも認識されていましたので,歯のケアは美容と健康の両面の意義がありました。 皆さんはいかがでしょう。年に何度ぐらい理髪店・美容院に行かれますか?髪の毛のお手入れと同じくらい歯のお手入れにも気を配ってあげて下さい。定期検診と予防に勝る治療なし,です。「抜け始めてわかるわかる。髪は長〜いお友達」というコマーシャルがありました。歯もまた同様ですね。 |
Q&A 患者さんからのご質問にお答えします |
妊娠と歯ぐきの出血の関係は? |
Q.妊娠してから歯ぐきから血が出るようになったのですが? |
A.妊娠中の方にこのような症状はよく見られますが,妊娠したことが直接の原因ではありません。多くの場合,歯の周囲についた歯垢の中の菌が歯肉の炎症を引き起こしているので,妊娠が引き金になったということになります。 妊娠という生理現象のために歯肉は出血しやすい状態となり,ホルモンの変化とともに唾液の性質も変化してネバリなどが出てきます。その上,妊娠中は動くのがおっくうになったり,つわりがあるなど,生活のリズムが崩れやすいことも考えられます。したがって,口の中の清掃も十分に行われず,不潔になって歯肉の炎症が起こりやすいのです。 そこで,妊娠中はふだん以上に歯と歯ぐきの境目をきれいにする必要があります。ていねいに歯磨きをして歯の周囲を清潔に保つことによって,歯肉の炎症・出血は防げます。 |
バックナンバー | |
第1回 | ◇キシリトールの話,子どもの八の字の前歯 ほか |
第2回 | ◇歯磨き剤を選ぶ,歯磨き剤の成分は本当に安全? ほか |
第3回 | ◇歯磨きをイヤがる子,学校や幼稚園での事故 ほか |
第4回 | ◇6歳臼歯を守ろう,歯の材料むかし話 ほか |
第5回 | ◇家庭でできるプラークコントロール,摂食・嚥下障害について ほか |