バックナンバー |
2001年5月掲載分 |
診療日記 −ドクターのひとりごと− |
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「同じ釜のメシを食った仲」という言葉がある。よく兵隊仲間とかで用いられるが,決して裏切ることのできない仲ということであろうか。 大学時代のボート仲間というのはまさにこれである。ボートというのは全員で力を合わさなければ進まない。そのため,長い間合宿すら。一人一人のすべてを理解し信頼を得る。文字通り一緒に暮らすわけで,当然けんかはあるし,長い合宿が終わった後は顔を見るのも嫌になる。 卒業後15年近く経って,久しぶりにレガッタにでようかというと,皆集まってくる。先輩にあえば,やっぱり緊張するし,後輩にはボロクソにいってしまう。 昔のままだが,皆結構それを楽しんでいるようだ。 |
こどもの歯のコーナー |
6歳臼歯を守ろう! |
5,6歳のお子さまを持つ保護者の方々。4月から小学校に入学され,親子ともども生活になじんできた頃ではないでしょうか。 さて,お子さまの成長とともに,お口の中には今ある乳歯の後ろに少しずつ顔を出して,立派な大人の歯,「6歳臼歯」が生えかけていることでしょう。 6歳臼歯は初めて生える永久歯で,噛む力が一番強く,正しい歯並びの基本となります。しかし,完全に生えきるまでに時間がかかり,その後,歯質が強くなるのにも1年程かかります。そのため,生えたての歯はむし歯になりやすいので,歯磨きがとても大事です。 保護者の方の仕上げ(点検)がまだまだ必要ですし,フッ素塗布とシーラントで積極的に予防しましょう。 |
歯の材料むかし話 |
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古代ギリシアやフェニキア人,紀元前に栄えたエトルリアの裕福な人たちは,抜けた歯を金のバンドで隣の歯に固定させていました。今でいうブリッジで,2700年も前にそういう技術があったことは驚きです。 一時期のハーレムでも,金歯を入れることがステータスとしてもてはやされ,日本でも,義歯に金を巻く(昔はこう表現しました)のが普通であった時代があり,今でもそれを実行しておられる方がいらっしゃいます。 古代から材料は抜けた歯の再利用が中心で,9世紀には虫歯の穴をミョウバンや漆喰(しっくい)で埋めていたという記録があります。でもそれらは溶けてしまいます。そこで15世紀には,初めて金箔による充填(穴埋め)が行われました。 16世紀のフランス,アンリV世は,日々義歯装着の儀式を行っていたとか。 そのころの材料は,象牙やセイウチやカバの牙が用いられたりしましたが,とりわけ人間の歯は高価だったようです。他にも銀,メノウ,真珠,エナメルを塗った銅などなど,お金に糸目をつけない人もいたのでしょう。ただし,そのころの義歯は噛めるというようなものではなく,単なる見栄えだけのものでした。 当時の肖像画がしかめっ面して口を閉じ,紳士は笑わない,淑女はパーティーでごちそうに手を出さない,というのも訳ありの話でしょう。 陶材の歯は1790年に作られました。製作者がフランス革命で英国に亡命してからは,ウエッジウッド製の総入れ歯が作られたのです。 現在は,プラスチック,陶材,貴金属などが利用されていますが,この分野の進歩は著しく,エナメル質に近い材料も開発されています。 最終的に自分の体の一部となるものですから,歯科医とよく相談して決めて下さいね。 |