第3話:オーストラリアってどんな国?

 熱戦が続いたシドニーオリンピックもついに幕を閉じました。
 柔道女子48kg級の田村亮子選手の悲願の金メダル!、陸上女子マラソンの高橋尚子選手の快走!、そして何といっても、地元門真市出身の女子テコンドー67kg以下級の岡本依子選手の銅メダル!(本当におめでとうございました!(^^)!)などなど、多くの感動をわたしたちに与えてくれました。
 今回は、その舞台となったオーストラリアについて書いてみようと思います。
 
 オーストラリアの面積は約774万平方キロメートル。これは日本の国土面積(約37.8万平方キロメートル)のおよそ20倍にあたります。

 この広大な面積の半分以上が、砂漠かそれに近い状態(丈の低い草がまばらに生えている草原で、これをステップといいます)で、世界で最も乾燥した大陸(乾燥大陸)といわれています。そのため、人間が住むのに適する場所は限られていて、比較的降水量が多い南東部に人口の大部分が集中しています。
 開会式での聖火点灯を覚えていますか?陸上女子400m金メダリストのキャシーフリーマン選手によって、オリンピック史上初めて「水」の中で聖火が点灯されていました。乾燥大陸のオーストラリアの人々にとって、水の存在は特別なものなのでしょう。
 
 
 ところで、このオリンピック期間中「アボリジニー」という言葉をよく耳にしたと思います。
 アボリジニーとは、約3万年前に東南アジア地域から渡ってきたといわれるオーストラリア大陸の先住民のことをさします。

 身体的特徴から人類をいくつかの集団に分けたものを人種といいますが、黒褐色の皮膚をもち、髪の毛の色は黒または褐色で、オーストラロイドと呼ばれる集団に分類されます。

 彼らは狩猟・採集生活を営んでおり、ブーメランは彼らの貴重な狩りの道具の一つでした。


アボリジニー
第一学習社 「最新地理図表」より
 ところが、オーストラリアが1788年にイギリスの植民地となってからは、ヨーロッパ系住民の支配下におかれるようになり、その後迫害を受け続けたため、当時約30万人といわれたアボリジニーの人口は、1880年頃には約6万人にまで減少したといわれています。
 現在の人口は約28万人(混血を含む)にまで回復してきましたが、これはオーストラリアの総人口の約1.5%を占めるにすぎません。


 長期間にわたる支配によって彼らは、法律上・制度上のさまざまな差別を受け続けてきました。しかし、1960年代からオーストラリア政府は、市民権や土地所有権の一部を彼らにも与えようというアボリジニー保護のための連邦政策をとりはじめ、教育・雇用・保健などに関するさまざまな援助を実施して、現在はアボリジニーとの融和を図ろうと努力しています。

 アボリジニーは、今ではほとんどの人々が都市での生活を送っていますが、なかには伝統的な狩猟・採集生活をしている人々も残っています。
 といっても、昔のように槍やブーメランで獲物をしとめるのではなく、四輪駆動車に乗って、銃でカンガルーなどを狩っているそうです。



 
エアーズロック →
大陸のほぼ中央部にある巨大な一枚岩(周囲8.8km、高さ348m)。

砂漠のど真ん中にそびえ立ち、太陽の光を受けると岩石(砂岩)に含まれる鉄分が照り返すため真っ赤に見えます。

アボリジニーたちは、これを「神の宿る石(ウルル)」として崇拝しつづけています。
第一学習社
「最新地理図表」より

 最後に、『ワーキング・ホリデー』という制度を知っていますか?

 これは青少年の人たちが、外国で働きながら観光旅行できる制度のことです。普通、外国へ旅行するときは、そこで働くことは認められていませんが、オーストラリアでは、1980年から日本政府との取り決めによって、18〜25歳の人たちに限り、最長1年間滞在してその国で働きながら観光旅行をすることができます(他にも、カナダやニュージーランドでも行われています)。
 
 学生の皆さんなどは、この制度を利用してオーストラリアに行ってみるのもいいかもしれませんよ。