第2話:「米」ってスゴい作物
9月に入っても暑い日が続きますね。 新学期も始まりました。気分一新、頑張っていきましょう。 |
8月末に仕事で3日ほど東京へ行く機会がありました。往復とも新幹線を利用したのですが、外を眺めていると、滋賀県では既に稲刈りが本格的に始まっているところがありました。 「まだ8月やのにもう稲刈り?」って不思議に思うかもしれませんが、これは早場米といって、通常よりも早く田植えを行っているため、収穫の時期も早くなり、8月中旬から9月上旬にかけて稲刈りが行われているのです。 |
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滋賀県の稲刈り風景 2000.9.4 |
これから全国各地で本格的に稲刈りが始まってくると、新米が食卓にならぶ季節になります。ごはんがおいしくなってきますよね。そこで今月はわたしたちの主食である「米」の話をしてみたいと思います。 |
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「米」は成長期に高温で、水を多く必要とする作物です。(一般に成長期の月平均気温が20℃以上、年間の降水量が1000mm以上) つまり、暑くて雨が多くないと栽培することができないので、日本では春から初夏にかけて田植えを行い、7月〜8月の夏の高温を利用して生育させ、秋(10月〜11月)に収穫します。 |
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ところで、米には大きく二種類あります。 わたしたちが米といえば、丸っこい形の粒で、ネバネバした食感のものを思い浮かべますね。これはジャポニカ(日本型)といわれる種類で、日本のほか、朝鮮半島やアメリカ合衆国のカリフォルニア州(「カリフォルニア米」と呼ばれているものです)などで栽培されています。 一方、細長い形の粒で、口あたりがパサパサしているものもあります。これはインディカ(インド型)といわれる種類で、インドや東南アジアなどで栽培されていて、彼らは主にこちらを日常食べています。私も外国に行ったとき食べたことがありますが、日本の米とは全然違い、独特のにおいがあり、本当にパサパサ(サラサラ)していました。 また、食べ方にもいろいろあって、わたしたちは主に炊いて食べますが、日本の赤飯などのように蒸して食べたり、ゆでて食べたり、米を生のままバターや油で炒めてから炊いて食べたり(ピラフの調理法です)と、世界各地でそれぞれ特有の食べ方があります。 |
さて、わたしたちが主食にしている米ですが、欧米の主食である小麦などと比べ、優れている点がいくつもあります。 |
1. | 米は小麦に比べて栄養価が高く、植物性タンパク質やビタミン・ミネラルなども多く含まれている。 |
2. | 水田での稲作は肥料も少なくてすみ、連続して栽培することができるのに対して、小麦は何年も同じ畑で連続して栽培することは難しい。 |
3. | 同じ面積で米と小麦を栽培した場合、収穫量は米のほうが多い。=単位面積あたりの収穫量が多い。 |
どうですか。米は小麦と比べると、人口を養う力が非常に大きい穀物ということがわかりますね。 下の表を見て下さい。これは1998年の米の生産統計です。 |
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生産量が桁違いに多い1位の中国と2位のインドは、それぞれ世界第1位と2位の人口大国。 多くの国民を養わなければならないため、生産量も多くなります。 ※ 中国は約12億人、インドは約9億人 生産量6位のタイは、米の輸出量が世界第1位。 日本も、生産量はトップ10に入ります。 データは、「データブックオブザワールド2000」より |
米は世界で年間約5億トン生産されますが、そのうちの90%以上がアジアで生産され、主食として消費されています。 世界の人口は昨年60億人を突破しましたが、アジアにはそのうちの約60%にあたる約36億人が居住しています。この人口を支えている食糧が「米」なのです。米ってすごい穀物だったんですね。 |