第7話:新世紀に向けて
〜新しい世紀に僕らは何を期待すればいいのだろう〜


−君たちの世紀を君たち自身が勝ち取っていくために。『2001年世界子供白書』に寄せて−
 
 みなさん明けましておめでとうございます。風邪などひいていないでしょうか。
センター試験を間近にひかえている受験生のみなさん、まず体力をどう保つかが勝負の分かれ目ですよ。何しろ長時間の試験なんですから。

 これから高校受験をひかえているみなさん。あせってはいけません。自分がやろうとしたこと、それも基本的なことを中心に弱点の補強をしっかりやってください。

 さて、21世紀を迎えました。みなさんはどんな風に思っているのでしょう。

 今から100年前にエレン・ケイという人は「20世紀は子どもの時代になる」と言いました。でも残念ながらそうはなりませんでした。それよりも、子どもにはとてもつらい時代だったようです。確かに日本では、生まれてすぐ病気で死ぬことは少なくなりました。でも、少し目を世界に広げるとまだまだ子どもたちにとって大変な状況が続いています。

 昨年の12月12日にユニセフ(国連児童基金)が『2001年世界子供白書』を発表しました。この白書は、1979年「途上国の子どもの状況」として発行されて以来、毎年世界の子どもの状況を明らかにし、問題点を指摘するだけでなく、改善についても提案しています。

 『2001年世界子供白書』の内容を少し紹介してみましょう。

 まず、世界では依然として貧困に苦しむ子どもたちがたくさんいることがあげられます。世界の12億の人々が1日1ドル以下(日本円で1ドルは100円〜110円です。)で生活しています。いいですか、100〜110円ですよ。一体これで何が買えるのでしょう。日本ではお菓子も買えません。そして、この12億人のうち5億人が子どもなのです。

 次に貧しい人々は暴力の犠牲になりやすく、場合によっては加害者になることもあります。特に暴力の犠牲者は女性と子どもです。

 第三に病気。なかでもエイズ。白書では15歳未満の子どもたち130万人を含む3430万人がエイズウイルスに感染していて、感染者の圧倒的多数が母子感染(母親がエイズにかかっていて、子どもも感染した)だと記しています。この子どもたちはおそらく10代になるまでに死んでしまうとも書いてあります。

 もう少し具体的にも書いてあります。つまり、「タンザニアでは5歳になるまでに死ぬ子どもの80%が病院に行けず家で死んでいる地域があること。米国でも子どもの約17%が必要な栄養を摂取できずにいる」と書いてあります。こうなると先進国か開発途上国かは関係がないようです。その上で、「すべての国が貧困を克服して子どもに投資できるようになるのを待つことはできないし。また待っているべきではない」と述べています。もはや事態は傍観している状態ではないのです。

 折角の21世紀。正月の華やいだ雰囲気に水を差すつもりはありませんが、これが世界の現実なのです。世界中の各地では紛争が続いています。そこに子ども兵士が参加し、次々に死んでいます。また、子どもは日本円で2万円程度で売られ、売春を強要されエイズに感染していることも事実です。しかも、アジアでこうした幼い子どもに売春させているのが日本の成人男性であることが多いのもまた事実です。

 受験前の大変な時期でしょう。でも、少しだけでも世界の子どもたちのことも考えて見てください。私のつたない説明よりももっと詳しいことを知ってもらう方がいいと思います。

 おそらく、このページを見てくださっている人たちのパソコンはインターネットがつながっている思います。一度「ユネスコ」と検索項目に打ち込んで検索してみてください。そうすれば、もっと詳しいことがわかると思います。世界中の子どもの実態についても知ることができます。

私たちは日本という国で生活していますが、目をほんの少し広げると全く違う状態であることがわかるはずです。これからは君たちの時代です。君たち自身がどういう世界を築いていくかを考えないといけないのです。私たち大人はそのためのバックアップをしないといけません。